代償分割とは?メリット・デメリットも併せて解説
◆代償分割とは
代償分割は、分割が難しい遺産を相続した際に有効な手段として使うことのできる遺産分割の方法の一つです。相続人が複数いる場合に、特定の相続人がその遺産を相続する代わりに、他の相続人に対して一定の代償財産を交付するという分割方法となっています。
◆代償分割のメリット
①遺産分割をスムーズに行える
不動産を相続するとなった場合には、その土地や建物などをそのままの形で相続したいというのが相続人の本音です。土地や建物が共有の状態になってしまうとトラブルの原因になる可能性もあるからです。
そこで遺産分割を使って、他の相続人に代償財産を交付することによって、土地や建物をそのままの状態で相続することができ、スムーズに遺産分割を進めることができるという2つのメリットがあります。
②公平に遺産分割を行える
土地や建物を相続できなくなってしまった相続人にとって、何も相続することができないとなると不満が出てしまいますが、代償分割によってそれらの不公平を是正することができるというのも大きなメリットのひとつです。
例えば三兄弟のうちの1人が不動産を相続するとなった場合、その不動産の価値が3000万円であれば、他の兄弟2人に1000万円ずつを支払うことによって、公平を図ることができます。
③相続税を節税できる可能性がある
建物や土地を取得した相続人は、「小規模宅地等の特例」の適用を受けることができます。具体的には、被相続人と同居していた相続人が代償分割によって自宅を相続した場合、要件が満たされていれば、自宅敷地の評価が80%減額され、相続税がその分減少します。
上記特例の対象となる土地の例としては
・特定居住用宅地等→故人が生前住んでいたい自宅
・特定事業用宅地等→故人が生前に事業に使っていた店舗や工場など
・貸付事業用宅地等→故人が他人に貸していた賃貸アパートや駐車場など
・特定同族会社事業用宅地→故人等が発行済株式の過半数を有する一定の法人に貸していた事業用ビルなど
◆代償分割のデメリット
①代償金を支払う相続人に相応の資金力が必要となる
先ほどのメリット②で説明した具体例に即して考えると、土地や建物を相続する相続人は、他の相続人に対し1000万円ずつ、つまり2000万円を支払う必要があるため、これだけの金額を支払うことのできる方でなければ代償分割をすることができません。
相続人間で合意があれば分割で支払うことも可能ですが、未払いが生じてしまった場合に新たなトラブル発生の原因となってしまうことも考えられます。
②代償金の算出でトラブルが起きる場合もある
代償金の金額を定める場合には、相続対象の土地や建物などの価値を評価することになります。
そして代償金の算出方法には様々な方法があり、当然計算に利用した方法によって金額が異なるため、代償金の額がなかなか定まらず、分割協議がまとまらないというトラブルが発生する可能性もあります。
◆まとめ
以上のように代償分割は相続人間でのトラブルを避けることに役立つ制度となっていますが、相続人にそれなりの資力が必要など、少しだけ厳しい条件となっています。
アーチ日本橋法律事務所では、長年の含蓄により民事・商事における法務を専門としており、東京都を中心に業務活動を行なっています。
代償分割についても対応をしているので、相続人間での話し合いや、代償金の支払いについてお困りの方はぜひご相談ください。
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