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遺産分割協議書の作成方法とポイント

相続が発生すると、遺産の分割方法を決める必要がありますが、その際に重要となるのが遺産分割協議書です。

遺産分割協議書は、相続人の間での話し合いで合意したものを文書化したもので、相続トラブルを防ぎ、スムーズな相続手続きを進めるために欠かせません。

本記事では、遺産分割協議書の作成方法とそのポイントについて詳しく解説していきます。

 

 

遺産分割協議書とは

 

遺産分割協議書とは、被相続人が亡くなった後、その遺産をどう分割するか、相続人全員で話し合い、合意した内容をまとめた文書です。

法的な効力を持ち、相続手続きの重要な証拠となります。

 

 

遺産分割協議書の役割

 

遺産分割協議書には、以下のような重要な役割があります。

 

  1. 相続人全員の合意内容を明確にする
  2. 相続トラブルを予防する
  3. 相続登記や名義変更の際の証明書類となる
  4. 相続税申告の際の添付書類として使用される

 

遺産分割協議書の作成は法的には必須ではありませんが、非常に大事な要素なので作成する方が良いでしょう。

 

 

遺産分割協議書の作成手順とポイント

 

遺産分割協議書の作成は、以下の手順で進めていきます。

 

 

1. 遺言書の確認

 

遺産分割の手続きを始める前に、まずは被相続人の遺言書を確認します。

遺言書があり、遺産について触れている場合は、遺産分割にあたりその意思を尊重する必要があります。

 

 

2. 相続人の確定

 

まず、被相続人の法定相続人を確定させます。

そのために、被相続人の戸籍に関する全ての情報を記録している戸籍謄本で相続人の確認をする必要があります。

 

 

3. 遺産の把握と評価

 

次に、被相続人の遺産を把握し、その価値を評価します。

不動産、預貯金、有価証券、生命保険金など、すべての財産を洗い出し、それぞれの価値を算定します。

特に不動産の評価は複雑ですので、専門家の協力を得ることも検討しましょう。

 

 

4. 分割方法を決める

 

相続人全員で話し合い、遺産の分割方法を決定します。

この際、被相続人の遺言書がある場合は、その内容を尊重する必要があります。

話し合いがスムーズに進まない場合は弁護士への相談を検討しましょう。

 

 

5. 遺産分割協議書の作成

 

相続人全員が合意した内容を基に、遺産分割協議書を作成します。

必要事項を漏れなく記載し、相続人全員の署名・捺印を得ましょう。

作成の際は、法律の専門家にチェックを依頼することをお勧めします。

 

 

遺産分割協議書の記載事項

 

遺産分割協議書には、以下の項目を必ず記載します。

 

 

1. 表題

 

「遺産分割協議書」という表題を明記します。

 

 

2. 被相続人の情報

 

被相続人の氏名、住所、死亡年月日を記載する。

住所は住民票などの住所ではなく、被相続人が実際に最後に住んでいた場所の住所です。

死亡年月日は、戸籍謄本等で確認し、正確に記載しましょう。

 

 

3. 相続人の情報

 

すべての相続人の氏名、住所、続柄を明記します。

相続人全員が必ず記載されているか、戸籍謄本等で確認しましょう。

こちらの住所は、住民票上の住所を記載します。

続柄は、被相続人から見た続柄を具体的に記載します(例:妻、長男、長女)。

相続人が未成年の場合は、その旨と生年月日を記載し、法定代理人(通常は親)の氏名、住所、続柄、未成年者との関係を明記します。

 

 

4. 遺産の内容

 

分割対象となる遺産のリストと評価額を記載します。

預貯金、不動産、株式、自動車、貴金属、骨董品、借金など、財産も負債も全てを記載することが重要です。

財産の評価額は、相続開始時点(被相続人の死亡日)の時価が基準になります。

 

 

5. 分割方法

 

どの相続人が、どの財産を、どれくらいの割合で相続するのか具体的に記載します。

財産を共有する場合は、その持分を明確にしましょう。

特定の相続人が、他の相続人に対して代償金の支払いを行う場合は、その金額や支払方法も明記します。

 

 

6. 作成日

 

遺産分割協議書を作成した日付を記入します。

日付を書くだけの簡単な部分ですが、作成日が間違っていると、法的な効力を失う可能性があるので、注意が必要です。

 

 

7. 署名・捺印

 

相続人全員の署名と実印の押印が必要です。

相続人全員が合意していても、署名捺印しないと、遺産分割協議書は無効となる可能性があります。

 

これらの項目を漏れなく記載することで、法的な効力を持つ遺産分割協議書となります。

 

 

遺産分割協議書作成時の注意点

 

遺産分割協議書を作成する際は、以下の点にも注意が必要です。

文書自体の内容は十分でも、この注意点が疎かになっていると、トラブルに発展する可能性があります。

 

 

1. 相続人の判断能力

 

認知症など判断能力に不安がある相続人がいる場合は、成年後見人の選任が必要になることがあります。

 

 

2. 相続税への配慮

 

遺産分割の結果、相続税が発生する可能性がある場合は、税理士などの専門家に相談することをおすすめします。

 

 

3. 期限の確認

 

相続開始から10ヶ月以内に相続税の申告が必要な場合があります。

期限に余裕を持って作成を進めることが大切です。

 

 

4. 原本の保管

 

遺産分割協議書の原本は大切に保管し、必要に応じてコピーを使用します。

相続人全員が原本のコピーを保管することをお勧めします。

 

 

まとめ

 

今回は遺産分割協議書の作成方法とポイントについて解説しました。

遺産分割協議書は、相続手続きの中核となる重要な文書ですので、相続人全員の合意を得て慎重に進めることが大切です。

ただ、相続は普段は縁の無い作業ですし、重要なことだからこそ不安に感じることもあると思いますので、専門家のアドバイスを受けながら進めることをおすすめします。

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吉岡 正太郎

Shotaro Yoshioka / 弁護士

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  • 学習院大学法学部法学科卒業
  • 日本大学法科大学院修了
  • アーチ日本橋法律事務所開設

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