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遺産分割後に遺産が出てきた!新たに財産が見つかったときの対処法とは

遺産分割協議を完了してから新たに財産が見つかることもあります。銀行からの通知で口座の存在が判明したり、家財を整理しているときに現金が発見されたりと、さまざまなパターンが考えられます。

こういった状況下で相続人がどのように対処すべきかをここで解説します。

 

 

遺産分割協議のやり直しは必須ではない

 

遺産分割協議で言及されていなかった財産が発見された場合でも、一から遺産分割協議をやり直すことまでは求められません。見つかった財産の内容など状況にもよりますが、基本的には新たに発見された財産についてのみ相続人間で改めて協議を行えば良いのです。

 

また、遺産分割協議書に包括的な記載がある場合はその記載に従って処理することも可能です。たとえば「本協議書に記載のない遺産については、○○が取得する。」等の記載です。このような条項があれば新たに遺産分割協議書を作成することもなく、効率的に取得手続きを進められるでしょう。

 

 

やり直しが必要なケース

 

協議全体のやり直しが必要になる場面もあり、たとえば「重要な財産が隠れていた場合」などが考えられます。

 

具体的には、新たに発見された財産がとても高額で相続財産全体に占める割合が大きいなど、「その財産の存在が最初から分かっていれば遺産分割協議に合意しなかった」と考えられるケースです。

 

「相続人の一部が意図的に財産を隠していた場合」も、遺産分割協議を取り消し、あらためて協議を行うことになるでしょう。

 

また、このような問題がない場面でも、相続人全員が納得・合意しているケースであれば当然協議をやり直すことができます。

 

 

財産の種類によっても対応は変わる

 

発見された財産の種類によって、必要な対応は大きく異なります。現金や預金、不動産、債務など、それぞれの特性を踏まえて手続きを進めなくてはなりません。

 

 

現金・預貯金の場合

 

見つかったのが現金であるなら、法定相続割合に従って分割するのが一般的です。

 

たとえば相続人が配偶者と子ども2人の場合、その現金について配偶者が50%を、子どもがそれぞれ25%ずつを取得します。名義変更などの特別な手続きが不要で、細かく分けることもできるという特徴を持つ財産であるため、このような対応が可能となっています。

 

もし法定の割合(法定相続分)以外で分割したい場合は、新たに発見された現金についてのみ遺産分割協議を行いましょう。

 

見つかったのが預貯金口座であるなら、金融機関に対して相続手続きを行い、その後分割について話し合います。金融機関から発行される残高証明書などの資料を準備し、正確な財産価値を把握することが重要です。

 

 

不動産の場合

 

不動産が後から判明した場合は、遺産分割協議を行い誰がその不動産を相続するかを決定した後、当該不動産の所在地を管轄する法務局にて相続登記を行いましょう。

 

資産価値が低く評価額が低額であるなら大きな問題になりにくいですが、立地条件の良い土地など、評価額が高額であるときは取得をめぐって揉める危険性があります。その場合は代償分割、あるいは換価分割なども視野に入れると良いでしょう。

 

代償分割とは

・不動産を取得した者がその他の者に金銭(代償金)を支払うことで公平な遺産分割を実現する方法。

・後日遺産が見つかったときでも、財産を残しつつ相続割合の調整をすることもでき、当該財産そのものの取り合いが生じていないケースであれば不満も出にくい。

・代償金を支払う者に現金かかる現金の負担が大きいという難点がある。

換価分割とは

・不動産を売却して得られた現金を相続人間で分け合い、公平な遺産分割を実現する方法。

・後日遺産が見つかったときでも相続割合の調整をすることができ、今後の不動産の管理なども必要なくなる。

・売却手続きに時間がかかること、希望金額で売れるとは限らないこと、当該財産を手放さないといけないこと、などの難点がある。

 

なお、不動産について遺産分割せず放置しても、相続人全員の共有状態(法定相続分に応じた共有持分)として取得することは可能です。しかし、この共有は以下の問題を招くため一般的には避けた方が良いとされています。

 

  • 不動産の処分(売却や贈与)、変更(大規模修繕、賃貸借契約)には共有者全員の同意が必要
  • 管理行為(軽微な修繕や維持管理)には過半数の同意が必要
  • 共有者の1人について相続が起こると関係性が希薄な者にまで共有関係が広がる

 

 

債務の場合

 

新たに見つかったのが借金やローンなどの債務であった場合、法律上は法定相続分で自動的に分割されることになっています。そのため遺産分割協議を行う必要はありません。

 

ただし、相続人間内部で有効な負担割合について協議することは可能です。「多くの財産を取得した者がすべての債務を負担する」といった取り決めも有効です。

 

しかしながら、このような取り決めは相続人間でのみ有効なルールであって、内々で決めたルールを債権者に対して強いることはできません。債権者に対しては法定相続分に応じた責任を負い、もし負担割合を超えた請求を受けたときは、その後ほかの相続人に金銭を支払うよう求償を行って精算します。

 

 

未発見の財産を想定して遺産分割協議書を作成しよう

 

遺産の調査が不十分だと、後日協議をやり直したり余計な手間が生じたりするリスクが高まります。

 

とはいえ、完璧な調査を遂行するのは簡単ではありませんし、完璧であるかどうかの確認も困難です。そこで協議を進めて遺産分割協議書を作成する際には、「まだ見つかっていない財産が出てくるかもしれない」と想定しておくことが大事です。

 

書面に後日判明した財産の取扱いに関する条項を盛り込み、スムーズに対応できる体制を整えておきましょう。

 

シンプルに、取得者を定めておくことも有効ですし、いくつかのパターンを想定して複数の条項を用意しておくことも有効です。たとえば、見つかったのが不動産なら・・・、現金なら・・・、○○万円以上の財産なら・・・といったように全員が納得のいくルールを定めておくと良いでしょう。

 

ただしルールを複雑にするとその分トラブルが起こる危険性も高まるため、専門家に表現が適切であること、法的に有効であることを確認してもらっておきましょう。

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吉岡 正太郎

Shotaro Yoshioka / 弁護士

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  • 学習院大学法学部法学科卒業
  • 日本大学法科大学院修了
  • アーチ日本橋法律事務所開設

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