遺言書の書き方や注意点
配偶者や子どもに遺言書を残す際には、書き方などに注意しなければ法的に無効になる可能性があります。
この記事では、遺言書の書き方や注意点について解説します。
遺言書とは
遺言書とは、相続に関する内容や財産の処分方法、相続人の身分、遺言執行人に関する内容などを記載し、遺言者の意思を書面に残しておくことです。
遺言書を残すことで、相続人同士の争いのリスクを下げることができます。
自筆証書遺言の書き方
遺言書作成で一般的に用いられる自筆証書遺言の書き方をご紹介します。
自筆証書遺言に使用する用紙は、メモ用紙やコピー用紙、便箋など何でも構いません。
ペンはボールペンや万年筆を使います。
フリクションは経年劣化により消えてしまうおそれがあるので使用することを避けましょう。
また、縦書き・横書きの指定はなく、以下の順番に書きます。
- 用紙の始めに「遺言書」と書く
- 相続に関する内容や財産の処分方法、相続人の身分、遺言執行人の指定などを書く
- 遺言執行者を指定する際には「遺言者は、妻の〇〇を遺言執行者に指定する」などと書く(※遺言執行者を指定しない場合は不要)
- 相続人に残す言葉(付言事項)を書く
- 作成日を明記する
- 遺言者の住所、氏名を書いて押印する
以上が遺言書の書き方です。
非常に簡単ですが、法的要件を満たしていなければ無効になる可能性があるのでご注意ください。
遺言書作成の注意点
遺言書をメモ書きのように書いただけでは法的に認められない可能性があるので、作成時には以下の8つに注意してください。
手書きで作成する
自筆証書遺言は、必ず遺言者自身が手書きで作成する必要があります。
自分は上手な文字を書けないからといって、親族や第三者に代筆してもらったり、パソコンなどを使ったりして作成した自筆証書遺言は無効になるので注意してください。
ただし、財産目録に関しては別紙にパソコンなどを使って作成しても問題ありませんが、その場合は必ず契印が必要です。
例えば、手が不自由で自ら手書きで作成できず、ボイスレコーダーに遺言を録音したものが遺言者の肉声であっても自筆証書遺言とは認められないので注意してください。
相続内容を正確に明記する
遺言書では、誰にどの財産を相続させるのか正確に明記する必要があります。
正確に明記されていなければ、遺言内容によって解釈が異なり、相続の際にトラブルになる恐れがあります。
たとえば、「妻の〇〇に不動産の半分を相続させる」と記載した場合、不動産をいくつも所有していると、すべての不動産の半分なのか、特定された不動産の半分なのか解釈によって異なります。
遺言書に記すときは、以下のように詳細かつ正確に書きます。
遺言者の妻△△〇〇子(氏名)(昭和〇〇年〇〇月〇〇日生)に以下の財産を相続させる
(土地)
- 所在地:〇〇県〇〇市〇〇町〇〇番地
- 面積:〇〇〇.〇〇平方メートル
(建物)
- 所在地:〇〇県〇〇市〇〇町〇〇番地
- 家屋番号:〇〇番〇
- 木造住宅2階建て 居宅
- 1階〇〇.〇〇平方メートル、2階〇〇.〇〇平方メートル
複数の不動産をすべて相続させる場合は、すべての不動産に関する情報を正確に記載します。
作成日を正確に明記する
遺言書の作成日は「令和〇年〇〇月吉日」ではなく、「令和〇年〇〇月〇〇日」というように正確に自筆で記載しなければ遺言書として認められません。
遺言者の署名と押印は必須
遺言書を作成した遺言者の署名と押印がなければ、遺言書として認められません。
また、遺言書が複数枚ある場合は、すべての書類に遺言者の署名と押印が必要です。
たとえば、遺言書に署名と押印があっても、パソコンなどで作成した別紙の財産目録に署名と押印がなければ、財産目録の用紙は遺言書として認められないので注意してください。
遺言書が複数枚になるときは契印を押す
遺言書が複数枚になる場合や別紙に財産目録を作成したときのように遺言書が複数枚になるときは、契印(ページをまたいで押印すること)が必要です。
訂正・追加は正しい方法で行う
訂正・追加時にも訂正または追加がわかるように記載して署名します。
また、訂正もしくは追加した箇所にも押印する必要があるので注意してください。
まとめ
今回は、遺言書の書き方や注意点について解説しました。
主に遺言書は自筆証書遺言が用いられますが、正しい方法で作成しなければ無効になるので注意が必要です。
遺言書作成で悩みや困りごとを抱えている場合は、法律の専門家でもある弁護士に相談することをおすすめします。
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