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不動産相続でよくあるトラブルとその対処法

不動産の相続はトラブルが起きやすいものです。

不動産は現金と違い分割する事が困難であり、場所を移動させる事もできません。

トラブルを起こさないためには、あらかじめ相続人と話し合い、対策しておく事が有効です。

この記事では不動産の相続でよくあるトラブルをまとめました。

よくある事例を参考に、必要な対策を施してください。

 

 

トラブル①相続を希望する人が複数いる

 

資産価値の高い不動産がある場合、複数の相続人が取得を希望し、互いに譲らない事があります。

資産価値が高ければ高いほどその傾向は強まります。

遺産分割協議が進まなければ相続税の申告期限までに申告できません。

このような時には次の方法で対応できます。

 

  • 不動産を共有名義にして相続する
  • 1人が不動産を相続する代わりに、他の相続人へ代償金を支払う
  • 不動産を売却し、現金にして分割する
  • あらかじめ遺言書で分割方法を決めておく

 

しかしどの対応も新たなトラブルに発展する恐れがあるため、十分な協議が必要です。

 

 

共有名義にする

 

共有名義は簡単な対応方法に見えますが、次のトラブルを起こす可能性があります。

 

  • 売却や改修時に名義人全員の同意が必要となる
  • 相続人の子や孫の世代になった時、権利関係がさらに複雑になる

 

 

代償金を支払って分割する

 

1人が不動産を相続する代わりに、他の相続人に代償金を支払う方法があります。

 

たとえば資産価値3,000万円の不動産を3人で分ける時、1人が不動産を相続し、他の2人に1,000万円ずつ代償金を支払います。

平等に分割できますが、不動産を相続する人は現金を用意しなければいけません。

現金の用意が難しい場合には話がまとまらない恐れがあります。

 

 

不動産を売却して分割する

 

不動産を売却し現金にする事で、平等に分割できます。

しかし相続人がその不動産に住んでいる場合には難しい方法です。

 

 

遺言書で分割方法を指定しておく

 

トラブルが予想される場合には、あらかじめ遺言書によって平等な分割方法を指定しておく事も効果的です。

ただし相続人全員の同意がある場合、遺言書とは異なる分割方法も選択できるため、効力は絶対ではありません。

また遺言書が無効にならないよう、気を付けて作成・保管する必要があります。

 

 

トラブル②相続したい人がいない

 

不動産を押し付け合う事もよくあるトラブルです。

不動産に資産価値がない場合、売却や活用が難しくなります。

不動産は所有しているだけで維持管理費や固定資産税がかかるため、相続を避けようとします。

 

 

可能であれば生前に対処を

 

相続開始後は10か月の申告期限までに申告・納税しなければいけません。

あまり時間がないため、生前から不動産業者に相談し対策すると良いでしょう。

現状では資産価値がない不動産でも、リフォームや太陽光発電などによって付加価値を付けられる可能性があります。

 

 

トラブル③相続税が払えない

 

資産価値の高い不動産を相続すると、支払うべき相続税も高額になります。

相続税の納付は原則として現金一括払いです。

一度に数百万円の相続税を納める事も少なくありません。

同時に現金も相続していればそれを納税に充てられますが、不動産ばかり相続した場合には現金が足りなくなる事もあります。

 

 

前もって現金の準備を

 

現金が足りなくなると予想される時には次の対策が有効です。

 

  • 売却できる不動産はあらかじめ売却しておく
  • 生命保険を利用して現金を準備する

 

また納税額が高額で、現金一括払いが困難な場合には、分割で納付できる可能性もあります。

 

 

トラブル④相続した不動産をそのまま放置してしまう

 

相続した不動産が遠方にある場合、そのまま放置してトラブルに発展する事があります。

不動産を放置するリスクは以下の通りです。

 

  • 荒れ放題な土地になる
  • 建物が早く朽ちる
  • 犯罪の温床となる恐れがある
  • 特定空き家に指定される

 

 

手入れ不足がトラブルを招く

 

手入れをしていない不動産は雑草が生えたり不衛生な環境になったりと、近隣住民に迷惑をかける可能性があります。

朽ちた家は地震や台風の時に崩れる可能性もあり危険です。

空き家にはゴミを不法投棄される可能性や不審者が住み着く恐れもあるため、対策が必要です。

 

また空き家を放置していると「特定空き家」に認定される事があります。

認定後も改善しなかった場合には固定資産税の軽減措置を受けられなくなり、税負担が増えます。

さらに改善命令を無視すると、罰金が科せられます。

 

 

不動産を放置しない

 

トラブルを起こさないためには、適切な管理が必要です。

自身で管理できない場合には、管理業者に委託する方法もあります。

貸家や駐車場など、賃貸として活用する事も可能です。

それでも維持・管理が難しい場合には売却も検討してください。

 

 

まとめ

 

この記事では不動産の相続でよくあるトラブルを解説しました。

不動産は高価で分割しにくく、トラブルを起こしやすい財産です。

相続が始まると10か月以内に申告・納税まで済まさなければなりません。

あらかじめ相続について話し合い、対策しておく事が大切です。

不動産の相続について困りごとがある場合には弁護士までご相談ください。

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吉岡 正太郎

Shotaro Yoshioka / 弁護士

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  • 東京弁護士会
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  • 学習院大学法学部法学科卒業
  • 日本大学法科大学院修了
  • アーチ日本橋法律事務所開設

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